逆光のメディチ
ルネサンスの華開くフィレンツェの街は、メディチ家の支配下にあった。当主ロレンツォと弟ジュリアーノの関係は、渦巻く野心の間で引き裂かれつつあった。偶然ジュリアーノと出会った少女アンジェラは、その天使のように美しい姿に魅せられ、ぜひ絵にしたいと願う。その想いが密かな恋心に変った時、二人を襲う悲劇、そしてこれからダ・ヴィンチが描くという幻の小説の謎とは…。
西洋系の歴史小説家?の藤本ひとみ著の逆光のメディチを読みました。
イタリアが最も輝いていた時代であるルネサンス期、そしてメディチ家最盛期を通して描く、愛と野心の物語って感じです。
ルネサンス、そしてメディチ家!私にとっては大好物な材料が揃っていてとても興味深い本でした。
主人公はレオナルド・ダ・ヴィンチ とアンジェラ
床にふせり、まもなくその命を終えるレオナルドの思い出話として話が展開していきます。その中でレオナルドは、アンジェラという少女!として登場します。
えっ!?と思うかもしれません。だってレオナルドは男ですから(笑)
過去話の中に出てくるのは、少女のアンジェラ。
なぜに性別を逆にしてしまったのかとかありますが、そこはあえて突っ込まない(笑)
アンジェラは、メディチ家の人々や、それと反対の立場の人物たちと知り合い、そして芸術家として名を馳せるボッティチェリとも親交を深めていきます。
魅力的なメディチ家の人々
15世紀イタリアに存在していた、フィレンツェ共和国という国を実質的に支配していた、メディチ家。その嫡男であるロレンツォ。学問や芸術を愛し、金と権力と、腹心のアントニオを使って人々から絶大な支持を得ます。
ロレンツォの弟にして天使のような美貌を兼ね備えたジュリア―ノ。
そして彼らを取り巻く人々。通称ロレンツォ部隊。
人々の支持を得つつ、そして政治中枢はメディチの息がかかった者たちが配置されていく。
メディチ家を揺るがす暗躍
そんなメディチ家を突き崩そうとする者も当然います。
ロレンツォの叔父にあたる野心的なレオーネ。ロレンツォとの後継者争いに敗れ、メディチから排除されようとしましたが、
後の悪名高い教皇となるロドリゴ・ボルジアと出会うことでレオーネは、自らが生き残る道を見つけます。
そしてメディチ家のライバル的存在であるパッツィ家。
そして教皇シクストゥス4世の計画。
様々な計画が練られ実行され、メディチ兄弟の支配体制を崩そうと目論みます。
歴史上では、パッツィ家の陰謀という事件につながるお話なので、個人的にはとても興味深かったです。
作中は様々な芸術家が現れ、作品を造っている過程やフィレンツェの美しい街並みをうまく表現してくれています。
自分的には、レオーネがお気に入りでした。